山岡鉄舟 （やまおかてっしゅう）

山岡鉄舟（1836～1888）は、小野家の五男として江戸に生まれ、槍術の師、山岡家の養子となった。名は高歩、字は猛虎、通称鉄太郎。9歳の時、飛騨郡代に任じられた父に従い高山に移住、10歳から北辰一刀流の井上清虎に剣を、岩佐一亭に書を学び、12歳からは禅を学んだ。講武所では剣術教授方世話役や浪士組浪士取扱などを務め、徳川慶喜の警護のために精鋭隊頭に任命された。江戸城の開城に際して勝海舟らとともに調整役を務めた。維新後は静岡に移住し、茨城県参事、宮内省御用掛などを歴任、剣術道場を開き剣禅一致を旨として無刀流を創始した。勝海舟・高橋泥舟とともに幕末三舟と称される。
若年期、大師流を学んだ鉄舟だが、剛毫によって肉太の線を駆使しながら一気呵成に書き上げる、禅味を帯びた書風がよく知られている。東照宮の建立や寺院復興などのための資金として充てるために、生涯に百万枚もの書を揮毫したとも言われている。