徳川慶喜
二行書

Tokugawa Yoshinobu
Calligraphy

掛軸　紙本　124,7cm×32,5cm(総丈209cm×45,5cm) 箱入

作品の状態について

画面、表装ともに良い状態です。
表装締め直しを致しました。

愛此山中石泉水幽
聲夜々落空裏　慶喜

〈読み〉
愛す 此の山中の石泉水、幽声夜々 空裏に落ちる。慶喜。

〈語注〉
◯此山中＝中国浙江省寧波市にある四明山のこと。日月星辰に光を通じる山という意味からこの名で呼ばれる。古来、霊山として名高く、道士や僧侶が来往し、有名な寺院も数多くある。
◯石泉水（せきせんすい）＝岩の間から湧き出る泉。
◯夜々＝夜な夜な。毎夜。
◯空裏＝そら。空中。

〈大意〉
愛するこの四明山の岩から湧き出る泉は、夜な夜な静かに空に落ちる。

〈解説〉
　唐代の詩人・施肩吾（780－861年）の「四明山泉を憶う」という七言絶句の一節を、潤った線で太細をつけながら軽快なリズムで揮毫しています。山奥で静かに湧き出る泉のようなリズムを感じます。(Ｙ)

作家について

徳川慶喜(1837〜1913)は江戸幕府第15代将軍。
水戸藩主・徳川斉昭の七男として生まれる。
字は子邦、号は興山。
将軍の継嗣問題で家茂に敗れ、安政の大獄では隠居謹慎を命じられた。
家茂の死後、最後の将軍...

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