犬養毅
二行書

Inukai Tsuyoshi
Calligraphy

掛軸　紙本　133cm×32,5cm(総丈207cm×45,5cm) 箱入

作品の状態について

画面、表装共に良い状態です。

烟水横窓遠江湖入夢回
觀魚猶罷釣鷗魚莫相猜

〈訓読〉
烟水 窓に横たはりて遠し、江湖 夢に入り回(まど)ふ。
観魚 猶(な)ほ罷(や)めて釣るがごとし、鷗魚 相ひ猜(うたが)ふこと莫(な)し。

〈私訳〉
水蒸気の立ちこめた水面が窓の外の遠くに見え、江湖は人々を幻想世界に誘い惑わす。そこでゆっくりと魚を見るのは、官職を辞めて釣りをするようなもので、カモメと魚たちは互いに疑うことなく安心して生息している。

◯烟水　水蒸気の立ちこめた水面。　◯江湖　（１）川と湖。特に、中国の揚子江と洞庭湖。（２）都から遠く離れた地。隠者の住む地。　◯観魚　魚を見る。

〈解説〉
　中国・清の進士孫星衍の「五畝園落成口占十二首」其十・鷗波舫を揮毫しています。鋭利な筆線に力強い気迫を込め、文字を整然と配しています。点画の所々に宿墨によるにじみが見られます。落款印に白文方印「毅字子遠」と朱文方印「木翁」、関防印に朱文長方印「坦蕩蕩」を押印しています。「坦蕩蕩」は『論語』述而第七の「子曰く、君子坦として蕩蕩。小人は長(とこし)なえに戚戚」に基づく語で、穏やかにのびのびとするさまを意味します。(Ｙ)

作家について

犬養毅（1855〜1932）は、岡山県出身の政治家。
第一回衆議院議員選挙以来、亡きなるまで落選する事がなかった。
大正期の憲政擁護運動でも活躍。総理大臣となり、満州事変収拾につとめたが同年の五・一五事件...

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