高橋泥舟
骸骨画賛
Takahashi Deishu
skeleton
掛軸 絖本 119cm×43cm(総丈205cm×59cm) 箱入
作品の状態について
画面、表装共に良い状態です。
蛾のことくに集り蜂の如くにむれ東西に奔り南北に走る貴きあり賤き
あり老たるあり若きあり行處あれハ歸る家あり夕に寐て朝におきいとなむところ
何事そや生を貪り欲に耽りあくことなきをいかにせんあゝ此髑髏もとこれいかなる
ものゝ果なるそや善人なるか悪人なるか美人なるか醜人なるか勇士なるか怯者なるかこれを
問へとも答るなくこれを見れともおもかけなしあゝ淺ましき姿かなあゝ淺ましき姿かな
幾とせ叢にさらされて雨露にうたれ霜雪に觸れ終に化してつちとなる此時何ものかとゝまらむ
唯殘れるハ名のみなり善人ならハ令名あらむ悪人ならハ汚名あらむこゝにおゐて感すれは彼色香におほれ
欲に耽り富貴栄花にまつわれて世に醜名を殘す者惑ひの甚しきにあらすして果してこれを何とかいはむや ひろ子のために 泥舟逸人
〈読み〉
蛾のごとくに集り、蜂の如くにむれ、東西に奔(はし)り、南北に走る。貴きあり、賤きあり、老たるあり、若きあり。行処あれば帰る家あり。夕(ゆふべ)に寐(いね)て朝におき、いとなむところ何事ぞや。生を貪り欲に耽(ふけ)り、あくことなきをいかにせん。ああ此(これ)髑髏、もとこれいかなるものの果なるぞや。善人なるか、悪人なるか、美人なるか、醜人なるか、勇士なるか、怯者なるか。これを問へども答るなく、これを見れどもおもかげなし。ああ浅ましき姿かな、ああ浅ましき姿かな。幾とせ叢(くさむら)にさらされて、雨露にうたれ、霜雪に触れ、終(つひ)に化してつちとなる。此時(このとき)何ものかとどまらむ。唯(ただ)残れるは名のみなり。善人ならば令名あらむ。悪人ならば汚名あらむ。ここにおゐて感ずれば、彼色香におぼれ、欲に耽り、富貴栄花にまつわれて、世に醜名を残す者、惑(まど)ひの甚しきにあらずして、果してこれを何とかいはむや。 ひろ子のために。 泥舟逸人。
◯怯者 憶病な人。 ◯令名 立派な名声。 ◯色香(いろか) 女のあでやかな顔と姿。女の色気。 ◯富貴栄花 身分が高く、富み栄えること。 ◯まつわれて 「まつわる」は、絶えずくっ付いて離れない。つきまとうの意。 ◯醜名 行いなどがよくないという評判。
〈解説〉
草むらにさらされた右を向く骸骨を描き、図上に賛を加えています。ひろ子という人物に贈った作品です。賛は『泥舟遺稿』第三編に収められる随筆「題髑髏」の後半部分ですが、多少の異同があります。禅の世界では、髑髏は一切の情識をぎりぎりまで枯らし尽くし、断滅し切った境地に喩えられます。泥舟はいくつかの髑髏を描いていますが、本作のような賛の書き込みが多い作品は珍しいです。(Y)
作家について
高橋泥舟(1835~1903)は、槍術の名家、山岡正業の二男として江戸に生まれ、長じて母方の高橋包承の養子となった。名は政晃、字は寛猛、通称は謙三郎、精一。実兄の山岡静山について槍術を学んだのち、講武所槍...
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