峨山慈棹
一行書

Gazan Jito
calligraphy

掛け軸　紙本　95cm×26,5cm（総丈173cm×28,5cm）箱入　禅語の茶掛・一行書(淡交社) 所載品

作品の状態について

画面、表装ともに良い状態です。
(読み）
無山不帯雲　
山として雲を帯びざるは無し

　『禅林類聚』巻三に収められる対句｢有水皆含月　無山不帯雲｣からとって、揮毫された一幅です。対句の意味は次のようになります。
(意味)
どんな水も清濁にかかわらず、みな平等に天上の月影を宿す。どんな山もそれぞれの環境や地形によって風情おもしろく片雲が生じ、雲を帯びない山はない。

　趣ある美しい眺めを詠んでいますが、単なる叙景詩ではないところが味噌です。それは、｢男女の差、肌の色などの差別にかかわりなく、すべての生きとし生けるものは平等に仏性を備えている｣という大乗仏教の教えを、水と山の自然の景色に託して対句表現したものと言えるからです。

作家について

峨山慈棹は、岩手県奥州に生まれた臨済宗の僧。
月船禅慧のもとで得度した。
16歳から諸国行脚し豊後・万寿寺の虚霊行応、日向大光寺・翠巌従真、丹波法常寺・大道文可など30余人の善知識を訪ねたという。
晩...

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