柏木如亭
三行書

Kasiwagi Jyotei
Calligraphy

掛軸　絹本　68,5cm×33,8cm(総丈158cm×47,4cm) 箱入

作品の状態について

画面上部分に修復跡があります。
表装右上にシミがあります。

無常説法現神通千里飛
梅一夜松萬事夢醒雲
吐月觀音寺裡一聲鐘
　元薩天錫天満宮詩如亭山人柏昶書

〈読み〉
無常の説法 神通に現す、千里の飛梅 一夜の松。
万事夢醒て 雲 月を吐く、観音寺裡 一声の鐘。
　元・薩天錫の天満宮詩。如亭山人柏昶書す。

〈大意〉
無常の教えは神通で示される。千里も離れた場所にある梅が、菅原道真公を慕って一夜のうちに九州の大宰府まで飛んで行ったように。また、一夜にして千本の松を生じさせたように。すべてのことが夢から目覚め、雲が月を隠す中で観音寺の鐘が一度鳴り響く。

〈解説〉
　中国・元時代の薩都刺（さっとら、号は天錫）の天満宮詩を揮毫しています。天神さまと親しまれる菅原道真公にまつわる飛梅や一夜松の伝説を混じえた詩です。ここの観音寺の鐘とは、道真公が漢詩「不出門」で「都府楼はわずかに瓦色を看る　観音寺はただ鐘声を聴く（近くの大宰府の建物はわずかに瓦の色を眺めるばかりだし、観音寺もただ鐘の声を聞くばかりで訪れたこともない）」と詠んだ太宰府にある観世音寺の梵鐘（国宝、日本最古）のことです。(Ｙ)

作家について

柏木如亭（1763〜1819）は、江戸に生まれた漢詩人。
生涯の後半生を遊歴しながら漢詩を作ることに明け暮れた。
漢詩の師は市河米庵である。
没後に梁川星巌が、如亭の業績を伝える為に詩集を刊行した。

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