石川大浪 (いしかわたいろう)
石川大浪(1762~1817)は、幕府の旗本であり、江戸城や大阪城の警護などを任務とする大番組として務めた。絵は、はじめ狩野派に学んだというが、蘭学者と交わり西洋画に興味をもち、蘭書の挿絵や銅版画からその技法を学んだと考えられている。
晩年には、古物・古書画の鑑賞に傾倒したようで、松平定信や谷文晁、大田蜀山人、立原翠軒らとも交わった。水墨の効果を利用した独特の洋風画を多数残している。西洋の油彩画を思わせるような濃密な色、緻密な表現の「杉田玄白像」や、徳川吉宗がオランダに注文し日本に輸出された西洋画の一つを模写した「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」が有名である。