長沢芦雪 (ながさわろせつ)
長沢芦雪(長澤蘆雪,1754~1799)の画家としての明確な足跡がわかる最初の作品は、25歳で描いた「東山名所図屏風」で円山応挙の家で描いた旨が、画中に記されている。
前半期には応挙風の画を描いた。この頃は、高い技術と感性を持って師・応挙に倣った作品を描いている。
「牡丹孔雀図屏風」エツコ&ジョープライスコレクション
「呉美人図」東京国立博物館蔵 など
多忙な師にかわって天明6年(1786)南紀に行き串本・無量寺の障壁画を手がけた頃から、画風が大きく変わる。
「竜虎図襖」無量寺蔵
「群猿図屏風」草堂寺蔵
「朝顔に蛙図襖」高山寺蔵など
後半期には応挙風を大胆奔放な画風へと転じてみせた。
「山姥図」厳島神社蔵
「富士越鶴図」
「海浜奇勝図屏風」メトロポリタン美術館蔵
「白象黒牛図屏風」エツコ&ジュープライスコレクションなど
また近年では、禅僧との交友関係が影響し、独自の生命をもった筆致や画風を作り上げたとされる。
「隻履達磨図」豊橋市美術博物館蔵
「寒山拾得図」高山寺蔵など
円山四条派の一人であり、師風を破った奇想の画人である。
長澤蘆雪の基準作品について
基準作品とは、注文主が分かり、描かれた年月が分かり、真筆であるという事に揺るぎのない作品などをさします。
長澤蘆雪の作品の評価や価格は、基準作品と描き込みの差を比較することで決まります。なお、作品を比較する場合は、同じ年代に描かれた基準作品と比べること等が重要です。
【長澤蘆雪の基準作品一覧】
◯初期作品・蘆雪を名乗る前の作品
安永年間(1772-1781)(19歳-28歳)
群鶴図
蛇図
◯南紀以前
天明前期(1781-1785)(28歳-32歳)
牡丹孔雀図 下御霊神社
花鳥図屏風 株式会社千總
龍図襖 島根・西光寺
隻履達磨図 斯経慧梁賛 豊橋市美術博物館
◯南紀時代(1786-1787)(33歳-34歳)
群雀図襖 和歌山・成就寺
龍図・虎図襖 和歌山・無量寺
楊柳観音図 和歌山・無量寺
群猿図屏風 和歌山・草堂寺
寒山拾得図 和歌山・高山寺
◯南紀から京都へ
天明8年以降(1788-1799)(35歳-46歳)
富士見西行図 山形美術館
孔雀図 静岡県立美術館
蹲る虎図
寛政6年広島を訪れた際に描いたと考えられる
富士越鶴図
寛政6年広島を訪れた際に描いたと考えられる
蓬莱山図
寛政6年広島を訪れた際に描いたと考えられる
朧月図
寛政6年広島を訪れた際に描いたと考えられる
宮島八景図 文化庁保管
寛政6年広島を訪れた際に描いたと考えられる
花鳥蟲獣図巻 會道怡との合作 千葉市美術館
月に郭公図 高津古文化会館
富小路貞直賛
山家寒月図 香雪美術館
月夜山水図 頴川美術館
薔薇蝶狗子図 愛知県美術館
大原女図 静岡県立美術館
山姥図 広島・厳島神社
寛政9年
大仏殿炎上図 個人
寛政10年