木戸松菊 (きどしょうぎく)
木戸松菊(1833~1877)は、山口県の生まれ。名は孝允、通称は桂小五郎、のちに木戸貫治、準一郎、号が松菊。
幕末動乱の多くの現場に立ち会い、生死の危機を何度もかいくぐり、西郷隆盛・大久保利通とともに、維新三傑と称される人物である。
吉田松陰の影響を受けて経史を学び、江戸に上って幕末維新の国事に奔走した。『明治詩文』にその名が見られる漢詩人でもあり、文集には『松菊詩文』『松菊遺稿』がある。煎茶席にもしばしば顔を出したようで、文人的な素養としては西郷や大久保に勝ったという。奥原晴湖や大沼枕山、鈴木我古ら東京の文人と盛んに交流したことでも知られ、彼らのよき理解者となった。
能書としても評価され、頼山陽や貫名菘翁に通じる、本格的な明清書法の学習の軌跡を見ることができる。