福沢諭吉
三行書

Fukuzawa Yukichi
Calligraphy

掛軸　絖本　122cm×42cm(総丈183cm×54,5cm) 箱入

作品の状態について

画面は大変良い状態です。
表装上部分にオレがありますが、鑑賞に影響するオレではないと考えています。

吾是十方世界身由来到處
物相親人言聞去皆稱善耳
順何期六十春　辛巳一月年六十戯賦

《読み下し》
吾は是れ十方世界の身、由来到る処に物と相親しむ。人言聞き去って皆善と称す、耳順何ぞ期せん六十の春。
　辛巳の一月 、年六十、戯れに賦す。

《語注》
◯十方世界　仏語。十方に無数に存在する衆生の世界。　◯人言　他人のことば。　

《口語訳》
私は元来、宇宙に遍く満ちている精神の持ち主で、天地間のどこに居てもあらゆるものと親しい関係を保っている。だから人のいうことを聞けば、すべてよしよしいうので、耳の順うことは、孔子のように60の年まで待つには及ばないのである。

《解説》
　『福沢諭吉全集』第20巻に収録される「癸巳一月年六十戯賦」（※題を「年六十戯作」としたものもあります。）という詩を揮毫したものです。落款によれば、明治14年（1881）1月、福沢諭吉が46歳の時の作品と知れます。結句は『論語』為政の「六十にして耳順（したが）う」という言葉に基づき、60歳になると品性の修養がますます進み、聞く所、理にかなえば何らの障害なく理解しうるという意です。(Ｙ)

作家について

福沢諭吉(1835-1901)は、大坂に生まれた思想家・教育者。豊前国中津藩士であった福沢百助の五男。大坂で緒方洪庵の蘭学私塾である適塾で教えを受け塾頭も務めた。その後、江戸に移り蘭学塾（後の慶応義塾）を開塾...

販売と買取（鑑定・査定）について

当店では福沢諭吉などの書画・掛け軸を販売および買取（鑑定・査定）しています。詳しくは下記の各バナーをクリックしてください。