大谷句佛
水月悟道　句賛

Otani Kubutsu
figure design

掛軸　絹本　130cm×41,5cm（総丈216cm×42,5cm）共箱　二重箱入

作品の状態について

画面に少しシミが出ていますが、鑑賞に影響するシミではないと考えております。
表装は大変豪華な裂が使われています。

(読み)
月今宵小さき閻浮の有情かな
句佛并せて題す。

　この句は『句佛句集』に収録されており、明治41年(1908)句佛34歳の作です。父光瑩が退隠し、句佛が二十三世管長職を継いで伝灯式を挙行、河東碧梧桐が新傾向運動を唱えて世を風靡した年です。また、句佛が箱書きしたのは大正8年(1919)仲夏であるため、本作は明治41年から大正8年の間に描かれたことが分かります。
　高浜虚子は句佛の句について、｢句佛さんの句は総じて気品があった。これは当時の書生俳句の中にあって異彩であった｣と述べています。本作は、今宵の月がこの世の小さな生き物を照らしている光景が詠まれています。｢月今宵｣は陰暦8月15日、仲秋の満月のことで、お月見にぴったりの掛物です。(Ｙ)

作家について

大谷句佛（1875〜1943）は、京都に生まれた浄土真宗の僧。
名は光演。東本願寺第23世法主となる。
絵画を幸野楳嶺・竹内栖鳳に学び、俳句は河東碧梧桐について学んだ。

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