長尾雨山
唐詩七絶草書

Nagao Uzan
Calligraphy

掛軸　紙本　147cm×39,4cm(総丈221cm×54cm) 共箱

作品の状態について

画面にシミが出ています。
表装は良い状態です。

雨歇楊林東渡頭永和三日盪
輕舟故人家在桃花岸
直到門前溪水流　雨山

〈読み〉
雨は歇（や）む 楊林東渡の頭（ほとり）。
永和三日 軽舟を盪（うご）かす。
故人の家は桃花の岸に在り。
直（ただ）ちに門前渓水の流れに到る。
　雨山。

〈大意〉
雨が止んだよ、柳並木のつづく東方の渡船場のほとりだ。永和の昔、蘭亭に上巳の宴会が催された時と同じように、天朗らかに気清く、春風も長閑にそよぐ、この3月3日、小舟を漕がせて旧友・李九の別荘を訪ねる。その家は桃の花の咲いた岸辺にあるので、まっすぐに渓水の流れにそうて門前に着いた。

〈解説〉
　中国・盛唐の詩人である常建の「三日尋李九荘（三日李九が荘を尋ぬ）」を揮毫した作品。3月3日すなわち日本の桃の節句に当たる日に、常建が友人の李九の別荘を訪問した時の詩です。永和九年（353）3月3日、王羲之が会稽山陰の蘭亭に時の名士四十一人を集めて修禊（みそぎ）をし、曲水流觴の遊びをして詩を賦した故事を踏まえています。(Ｙ)

作家について

長尾雨山（1864～1942）は、香川県の生まれ。名は甲、字は子生、通称槙太郎。雨山はその号で、別に石隱、古矜子、尤悶道人がある。
父、柏四郎のもとで早くから漢学に親しみ、東京帝国大学文科大学古典講習科を...

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