富岡鉄斎
看山自適図

Tomioka Tessai
Landscape

掛軸　絹本　115,8cm×41,8cm(総丈194cm×56,5cm) 共箱　

作品の状態について

画面上部分にシミが出ていますが、鑑賞には影響ないシミかと考えています。
表装は良い状態です。

(読み)
〈本文〉
削籍頑仙参画禅遊方
携筆但随縁市場誰
識真金値不為買人
減一銭鉄斎外史

〈読み〉
削籍頑仙画禅に参ず,方に遊し筆を携え随縁に但う。
市場誰ぞ真に金値を識る,買人一銭を減らす為に不ず。

〈語注〉
削籍：免職
頑仙：馬鹿な神仙。初めて仙道に到った者。
画禅：禅の観点によって画の指導をすること。
遊方：僧侶が修行などのために旅をすること。

〈大意〉
職をやめ仙人になり禅を以って画を論じ、筆を携え各地に遊んでは縁に随う。
市場の人たちは金の本当の価値など知らない。客は一銭も使うことはないだろう。

〈解説〉
画讃にある「頑仙」とは、作品左下に描かれている、従者を連れた橙色の服を着た僧のことでしょう。
仕事をやめ気ままに旅を続ける頑仙が訪れたのは深い山奥の家。
家主とは雅な芸術談義が繰り広げられることが想像できます。
詩書画すべてが渾然一体となり一つの境地を描き出しており、見るものを画中に引き込みます。（G）

作家について

富岡鉄斎（1836〜1924）は、京都に生まれた日本画家。

「万巻の書を読み 万里の道を行く」の座右の銘を実践した鉄斎の作品は、壮大なスケールと存在感を放っている。

画は勿論、国学・儒学を修め、幕末には...

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