右都御史 (うとぎょし)
右都御史は、16世紀半ばの人。
「右都御史之印」という主文印を捺す作品が十数点知られる。それらの作品に付された後世の箱書、もしくは添状などに決まって狩野玉楽筆とする記載がある。しかし謎も多く、「玉楽」という款印を付す確実な作品が発見されていない。作域は山水から人物、花鳥と描法の柔らかい筆致の作品が多い。元信様式を基本とするが、一様に柔和な画趣にあふれている。活躍の年次を示す資料は見出されていないが、画風からは狩野元信の在世期に雁行する16世紀半ばから第3,4半世紀にかけてのことと推定される。