渡辺華山 (わたなべかざん)
渡辺華山(1793~1841)は、三河国田原藩士渡辺定道の長男として江戸に生まれる。江戸詰の武士として江戸で暮らしたが、貧しい暮らしを助けるために内職として絵を始めた。白川芝山や金子金陵らに学び、のちに谷文晁に入門。天保3年には家老となり藩政に力を注いだが、蛮社の獄に連座し田原に蟄居を命じられた。12年、失意のうちに自刃した。谷文晁の画風、金子金陵の得意とした南蘋風の画法、さらに西洋画法をも吸収した。西洋画風の陰影表現を生かした肖像画には、迫真的で清新さを感じさせる優れた作品が多い。