鈴木松年
紅梅鶯図

Suzuki Shonen
red plum and warbler

掛軸　絹本　118cm×41,5cm(総丈215cm×55cm) 共箱　二重箱入

作品の状態について

画面、表装ともに良い状態です。
表装の中廻しは印譜裂が使われています。
当時の画料がいかに高かったのかわかります。

玉妃清夢覺花雨落臙脂
　　　　　　松年僊史筆

〈読み〉
玉妃 清夢覚める、花雨 臙脂（えんじ）を落とす。

〈語注〉
◯玉妃＝帝王の妃、王妃（特に楊貴妃を指すことが多い）のこと。ここでは、梅の形容として用いられている。
◯花雨＝花の咲く頃に降る雨。花に降る雨。
◯臙脂（えんじ）＝紅色の顔料。黒みを帯びた赤色。

〈大意〉
梅は厳しい冬の寒さを耐え忍んだ後、長い眠りから覚めて春一番花を咲かせ、清らかな香りを放つ。春雨によって、しっとり濡れて色鮮やになった紅の花が散ってしまう。

〈解説〉
　画面右下の賛は、中国・元末明初の文人画家である王冕（1287－1359）の五言絶句｢紅梅｣の一節。全ての生命が長い冬の眠りから覚めるころ、庭先の梅が花を咲かせ、もう春が満ちあふれているという早春の情景を詠んでいます。(Ｙ)

作家について

鈴木松年（1848～1918）は、京都に生まれる。
はじめは号を百僊として活躍していたが、のちに松年と改めた。
鈴木百年の長男として生まれ、上村松園の最初の師としても知られている。
気性は激しく、同世代の...

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