佐藤一斎
三行書
Sato Issai
Calligraphy
掛軸 紙本 148cm×46cm(総丈210cm×59,5cm) 箱入
作品の状態について
画面、表装ともに良い状態です。
百尺龍鱗澗底擎欝然獨領四時榮紅桃白李慚
他俗老柏蒼杉事以兄驟雨聲飛琴一曲團雲影落月三更
夛年不遇工倕斧却幸世無廊廟營 詠松贈人
八十四叟一齋坦録舊製
〈訓読〉
百尺の竜鱗 澗底より擎(あが)り、鬱然として独り領す四時の栄。
紅桃 白李 他(か)の俗に慙(は)ぢ、老柏 蒼杉 事(つか)ふるに兄を以てす。
驟雨の声は飛ぶ 琴一曲、団雲の影は落つ 月三更。
多年 工倕の斧に遇はず、却(かへ)って幸ひに世々 廊廟の営無し。
松を詠じて、人に贈る。
八十四叟一斎坦、旧製を録す。
〈私訳〉
百尺もある松の幹は谷底から天に向かって支え、草木は盛んに茂り、春夏秋冬の繁栄を独り占めしている。紅桃と白李は松のならわしに恥じ、老柏と蒼杉は(松を)兄として敬いつかえる。にわか雨が松に降りかかる音は一曲の琴の音を聞くようであり、あつまった雲の影は夜半の月に照らされて消える。長年、帝堯の時の巧匠がつくった斧には巡り会わず、依然として、多くの世に(この立派な松を伐採して建てた)政事を執る所がないのは幸いである。
◯竜鱗 竜のうろこ。松の幹にたとえる。 ◯澗底 谷底。 ◯鬱然 草木などが盛んに茂るさま。 ◯四時栄 春夏秋冬の繁栄。 ◯他俗 松のならわし。四時の栄。 ◯団雲 あつまった雲。 ◯月三更 三更(今の午後12時)の月。夜半の月。 ◯工倕 帝堯の時の巧匠の名。 ◯廊廟営 政事を執る所、または朝廷の造営。
〈解説〉
『愛日楼文詩』第四冊に「詠松贈人」と題して収められる七言律詩を、一斎84歳の時に揮毫したものです。『愛日楼文詩』は、一斎の詩文集としてただ一種生前に刊行されたもので、ほぼ寛政10年(1798)一斎27歳頃から文政9年(1826)55歳までの詩を収録しています。
著書『言志四録』の中で、一斎は書に対して強い関心を示していたことが分かります。「心の邪正、気の強弱は、筆画これを掩(おお)ふこと能(あた)はず。喜怒哀懼、勤惰静躁に至りても、また皆これを字に形(あら)はす。一日の内、自ら数字を書し、以て反観せば、また省心の一助なり」(『言志録』24.人柄と書画)と述べ、書によって自分の心を省みよと説いています。(Y)
作家について
佐藤一斎(1772~1859)は、江戸に生まれた江戸後期の儒学者。
初名は信行、のちに坦(たいら)。通称は幾久蔵。字は大道。別号に愛日楼、老吾軒など。
朱子学や陽明学に通じ、幕府の学問所「昌平黌」の儒官を務め...
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