谷文晁
富士山、筑波山双幅
Tani Buncho
Fuji,tsukuba,landscape
掛軸 市河米庵賛 絹本 各95,5cm×34cm(総丈187cm×49,5cm) 箱入
作品の状態について
画面、表装ともに良い状態です。
谷文晁が75歳の時に描いた作品です。
年紀を入れてある作品は珍しく、市河米庵の賛も貴重です。
【右幅】
玉立撑天八朶重巍然自作衆
山宗秋晴一點無雲翳真箇東
方不二峰 米葊亥題
(読み)
玉立して天を撑(ささ)う 八朶(はちだ)の重、巍然として自(おのずか)ら衆山の宗と作(な)す。
秋晴 一点の雲翳(うんえい)も無く、真箇東方に不二の峰。米庵亥題す。
(口語訳)
美しく天を支えて立つ八つ重なった花弁(富士山)は、抜きんでて偉大であり、自然と山々の宗となる。秋晴れの日はわずかな雲も無く、まこと東方に唯一の峰であることよ。
◯玉立 美しく立つさま。 ◯八朶 八つに分れた花弁。また、蓮の花。富士山の山頂に八つの峰があることから、蓮の花の八弁にたとえられる。 ◯巍然 高く聳(そばだ)つさま。また、ぬきんでて偉大なさま。 ◯衆山 多くの山。 ◯宗 おおもと。主として尊ぶべきこと。 ◯秋晴 秋の、すっかり晴れ渡った空のようす。 ◯一点 ほんの少し。わずか。 ◯雲翳 雲。 ◯真箇 本当に。 ◯不二 二つとないこと。唯一。
(署名と印章)
谷文晁・・・「文晁 時歳七十五 筆」と署名し、「画学斎印」を捺す。
市河米庵・・・「河・三亥」朱文・白文方連印、「米庵」朱文長方印
【左幅】
枯蘆葉戦晩風間鴨織
水紋湾又湾第一冬晴奇
絶景夕陽襯出筑波山
冬日墨水堤上舊作 米庵
(読み)
枯蘆の葉は戦(そよ)ぎ 晩風間(しず)か、鴨は水紋に織る 湾又た湾。
第一冬晴 絶景を奇とす、夕陽襯出す 筑波山。
冬日墨水堤上の旧作 米庵。
(口語訳)
枯れた蘆の葉はそよそよと音を立て、夕方の風は静かで落ち着き、カモは水紋を泳いで入江と入江を行き来している。まず何よりも、冬の穏やかに晴れた日はここから望む絶景を抜群のものと思わせてくれ、そこには夕日に際立たせられた筑波山がそびえる。
◯水紋 水面に起こる波紋。 ◯襯出 「襯」は、引き立てる、際立たせるの意。「出」は、現れるの意。 ◯墨水 隅田川。
(署名と印章)
谷文晁・・・「文晁 時歳七十五 筆」と署名し、「画学斎印」を捺す。
市河米庵・・・「三亥」朱文楕円印、「小山林堂」朱文楕円印
富士山図の名手として知られる文晁が、右幅に富士山、左幅に筑波山を描いています。天保8年(1837)、文晁75歳の時に制作した作品です。本作の2年前に制作された晩年の大作「富士山図屏風」(静岡県立美術館)は、彼の晩年の風景表現を見る上で貴重な作品として位置付けられています。
文晁と交友があった市河米庵(1779-1858)が各幅に賛を記しています。米庵は巻菱湖・貫名菘翁とともに「幕末の三筆」と称される能書です。右幅の賛は『米菴先生百絶』に収録される「望富岳四首」のうちの一首で、秋に吉原から眺めた富士山を詠み、左幅の賛は「冬日墨水堤上」と題する旧作で、冬に隅田川の堤防の上から眺めた筑波山を詠んでいます。(Y)
作家について
谷文晁(1763~1840)は、田安家家臣の詩人、谷麓谷の子として江戸に生まれる。はじめ絵を狩野派の加藤文麗、渡辺玄対に学んだ。天明8年田安家の奥詰見習となり、寛政4年に田安家出身の白河藩主、松平定信付きに...
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