釈宗演
鉢図

Shaku Soen
takuhatsu

掛軸　絹本　35cm×51,5cm（総丈123cm×53,5cm）箱入

作品の状態について

画面、表装ともに良い状態です。

提不起　浩岳

(口語訳)
持ち上げることができない。

　｢～不起｣は、接尾語｢～起｣のついた動詞に｢不｣が挿入された形で、不可能を表します。本作の場合、｢提起できない｣という意味になります。
　五祖弘忍は深夜ひそかに、寺男にすぎない盧行者(のちの六祖慧能)に伝法の印である衣鉢(お袈裟と鉢を合わせて衣鉢といい、師匠から弟子に伝授され受け継がれる最高の悟りの象徴)を密付し、寺を出て南方に逃げるように指示しました。これを聞き付けた血気盛んな一部の弟子たちは、いくつかの捜索班を作り、大切な衣鉢を取り返そうと、盧行者を追いかけました。その中で、明上座という軍人出身の修行僧が、大庾嶺でようやく追いついたところ、盧行者は衣鉢を石の上に置いて、｢この衣鉢は信を象徴するものだ。力で奪うことはできない。欲しければ持っていくがよい。｣と言いました。明上座が持ち上げようとしましたが、軽いはずの衣鉢が山のように重たく感じられ、びくともしなかった、という逸話をもとにしたのが、本作の表すところであろう。(Ｙ)

作家について

釈宗演（1860〜1919）は、福井県に生まれた臨済宗の僧。
京都妙心寺の越渓守謙のもとで得度し、曹源寺の儀山善来や、建仁寺の千葉俊涯のもとで修行した。
鎌倉円覚寺において今北洪川の法をついだ。
慶應義塾...

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