作者不詳
泉福寺焼経

Unknown
Senpukuji yakekyo

掛軸 紙本 本紙23,3cm×21,2cm 台紙53cm×30cm (総丈128cm×45,5cm) 箱入

作品の状態について

作品の状態は良好です。

説脩多羅名一切如来法輪妙音十佛世界
微塵等修多羅以為眷属時彼女人聞此経
已即得一万三昧身心柔輭如初受胎又如
衆生初受勝業果報又如初生堅固吉樹所
謂見現在一切諸佛三昧普照一切佛刹三
昧深入三世三昧一切如来妙音轉法輪三
昧知一切佛願海三昧滅一切衆生生死苦
悩三昧滅一切衆生癡闇満足㽵嚴大願三
昧滅一切衆生諸苦三昧令一切衆生具
足快樂三昧教化一切衆生心无疲惓三昧
一切菩薩无㝵幢三昧菩薩降神母胎㽵嚴三
昧得如是等一万三昧復得浄三昧心不動

(読み)
・・・修多羅を説きたまひ、一切如来法輪妙音と名づけ、十仏世界の微塵に等しき修多羅を以て眷属と為(な)せり。時に彼(か)の女人、此の経を聞き已(おは)りて、即ち一万の三昧を得、身心柔軟なること初めて受胎するが如し。又た衆生の初(はじめ)に勝業の果報を受くるが如く、又た初生の堅固吉樹の如し。所謂(いはゆる)、現在の一切諸仏を見てたてまつる三昧、普(あまね)く一切の仏刹を照らす三昧、深く三世に入る三昧、一切如来の妙音転法輪の三昧、一切の仏の願海を知る三昧、一切衆生の生死の苦悩を滅する三昧、一切衆生の痴闇を滅し大願を満足し荘厳する三昧、一切衆生の諸苦を滅する三昧、一切の衆生をして快楽を具足せしむる三昧、一切衆生を教化して心に疲倦無き三昧、一切菩薩の無礙幢三昧、菩薩の降神母胎荘厳三昧なり。是(か)く如きの等の一万の三昧を得たり。復(ま)た浄三昧の心、不動の・・・(中略)・・・を得たり、・・・

　もとは河内の泉福寺に伝来したことで知られる、平安時代(12世紀初期)の藍紙墨書の装飾経です。伝来途次の火災で焼損を蒙ったことから、一般的に「泉福寺焼経」と呼ばれています。なお、巻子の形で伝わるものが東京・京都・奈良の国立博物館や根津美術館、立命館大学などに分蔵されているほか、断簡が存在します。
　本作は、比較的焼損の小さい12行の断簡です。藍漉き染めの紙に金の揉み箔(屑箔を揉み砕いて細かくしたもの)を一面に散らし、金泥の界を施しています。これに60巻本の『大方広仏華厳経』(旧訳華厳経、東晋の仏駄跋陀羅訳)の巻第五十三の入法界品第三十四之十を楷書で書写しています。料紙装飾(藍紙と金の揉み箔)と天地の焦げ痕が一種の調和美を見せ、何とも言えない鑑賞上の効果を高めています。(Ｙ)

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作者不詳

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