聖武天皇
賢愚経（大聖武）

Emperor Shomu
calligraphy

掛け軸　紙本 本紙27cm×5cm 台紙60cm×25,5cm（総丈134cm×35cm）箱入 表装・宇佐美松鶴堂製

作品の状態について

画面、表装共に良い状態です。

其音聲亦尒断絶善聽大王過
去久遠此閻浮提有一大國名
(読み)
其の音声を[聞き]亦爾(しか)く、断絶せり。善く聴けよ、大王よ、過去、久遠に此の閻浮提(えんぶだい)に一大国あり、［波羅㮈と］名づく。
※ [　]は書写されていない箇所の読みです。

　『賢愚経』は『賢愚因縁経』ともいわれ、中国北魏の慧覚らの訳した経典です。仏の本生、賢者と愚者に対する譬喩的な小話69篇が収められています。
　写経は通常1行17字のところ、｢賢愚経｣(大聖武)は1行12か13字位の大文字で書写され、肉太で豪快な書きぶりは、他の写経と比べて王者の風格があります。また、優れた古筆手鑑の巻頭に｢賢愚経｣の断簡を飾ることでもよく知られています。
　この作は、『賢愚経』巻第十一 無惱指鬘品第四十五の24文字が書写された断簡です。わずか二行の断簡ですが、1字1字が気魄に満ち、安定した構築性に富んでいるため、スケールが大きく見応えがあります。(Ｙ)

作家について

聖武天皇（701～756）は、文武天皇と藤原不比等の娘、宮子の間に生まれた。父帝が崩御した時、幼少であったため、祖母元明、伯母元正の二女帝の後、神亀元年(724)24歳で即位した。皇后は光明子。
唐風文化をとり...

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