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森寛斎
郭公図
Mori Kansai
Common Cuckoo
掛軸 頼支峰賛 絹本 125cm×31cm(総丈202cm×43cm) 箱入
作品の状態について
画面、表装共に大変良い状態です。
江門昨擲衣冠去又衟鳬川舊板扉眠覺却疑身尚客
聲々時聴不如歸
支峯閒人題
(読み)
江門 昨(むかし)衣冠を擲ちて去る、又た鳧川の旧板扉を道(みち)す。
眠覚めて却って疑ふ 身の尚き客かと、声々たり 時に聴く不如帰。
支峰間人題す。
○郭公(ほととぎす) 古来、和歌などで「郭公」を「ほととぎす」とよむ。5月に南方から渡ってきて日本に夏を告げる鳥。 ○江門 江戸。 ○不如帰 ホトトギス。鳴き声が「不如帰去」と聞こえることから。 ○支峯 頼支峰(1823-1889)のこと。幕末から明治にかけて活躍した儒者。頼山陽の第二子、母梨影の初生子。名は復、字は士剛、通称は又二郎、支峯はその号である。
(大意)
むかし、衣冠(官職)を抛り投げて江戸を離れたうえに、さらに鴨川の旧友の家に立ち寄った。ふと眠りから目を覚ますと、まだ私は身分の高い客なのではと再び疑ってしまう。こんな時はいつも、ホトトギスの鳴き声を聞く。
本図は、素早く飛び去る1羽の郭公(ほととぎす)が描かれています。くちばしが開いているので飛びながら鳴いているのでしょう。賛は、『支峰詩鈔』に「聞子規」と題される詩が頼支峰によって揮毫されています。少し異同があります。支峰は明治維新の際、東駕東幸にあたってこれに扈従(天皇に随行)、上京して大学二等教授に任ぜられ、明治2年(1869、47歳)には大学少博士・従五位下となったが、間もなく辞職して京都に帰り、悠々自適の老後を送りました。この時のことを詠んだ詩です。
また、支峰の第一子の頼潔が箱書きに「筆端洵為双美也。」(寛斎の画と支峰の書、2つともそろって本当に美しい。)と識し、賞賛しています。(Y)
作家について
森寛斎(1814〜1894)は山口県に生まれた日本画家。
名は公粛。
森徹山に日本画を学び、養子となった。
幕末には絵師としての立場を隠れ蓑に、長州藩の品川弥二郎らと命を賭して国事に奔走した。
維新後は京都...
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