柳沢淇園
一行書

Yanagisawa Kien
calligraphy

掛軸 紙本 116,3cm×16,5cm(総丈187cm×29cm) 箱入

作品の状態について

画面、表装は良い状態です。

江上数峯青
(読み)
江上数峰青し。

　唐代の詩人銭起による｢省試湘霊鼓瑟｣と題する詩の句が書かれています。この詩の末尾二句｢曲終人不見、江上数峯青。｣(曲終わりて人見えず、江上数峰青し。)に拠り、曲が終わって気が付けば瑟(おおごと)を演奏していた人影はなく、あとには悠々たる大河の畔にいくつかの山々が青く望まれるのみである、という静寂な風景が詠まれています。また、この句は修行者の言葉や行為が跡を留めないさまの象徴として用いられる禅語です。
　淇園は五言句を揮毫した一行書を多く残しています。幅が20センチメートルに満たない細長い紙にすっきりと書かれた本作は、淇園が好んでいた形式です。割れた筆を用いて勢いを出しているが、そこには粗放さはなく、洗練された書きぶりといえます。(Ｙ)

作家について

柳沢淇園（1704～1758）は、柳沢吉保の家老を務めた曾祢保格の子として生まれる。享保3年の元服時に藩主吉里から柳沢の姓を与えられ、同12年には吉里の一字を拝領して字を里恭と改めたことで、中国風に柳里恭とも...

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