富岡鉄斎
岳陽楼図

Tomioka Tessai
landscape

掛軸　紙本　116cm×27,5cm（総丈193cm×42,5cm）水田竹圃箱書　二重箱入　富岡鉄斎鑑定委員会鑑定書取得保証致します

作品の状態について

画面、表装ともに大変良い状態です。
大変幅活きの良い一幅です。

氣象萬千
　指岳陽樓記中字
　　　鐵齋外史寫
(読み)
気象万千
岳陽楼記中の字を指す。
鉄斎外史写す。

　岳陽楼は洞庭湖のほとりに建てられた三層の楼閣です。黄鶴楼、滕王閣とともに江南三大名楼のひとつとされ、その美しい眺望の絶景は、杜甫「登岳陽楼」や孟浩然「望洞庭湖贈張丞相」など、古来多くの詩文に詠まれています。それらの詩文を通して、詠まれた当時の岳陽楼からの眺めを想像することもできます。
　賛に揮毫されている「気象万千」の語は、北宋の文筆家、政治家である范仲淹(989～1052)が「岳陽楼記」の中で、岳陽楼からの眺望について述べている｢朝暉夕陰、気象万千。｣から引用されています。朝日の光や夕やみによって、自然界の景色が千変万化して飽きないという意味です。
　落款印｢百錬｣｢銕叜｣白文･朱文連印は、明治36年(1903)に足達畴邨(1868－1946)が刻した印です。主な所用作品には、｢八百遐齢図｣(68歳)や｢日露交戦図｣(70歳)があります。本作も同じ時期に描かれたものであると考えられます。
　鉄斎が描いた岳陽楼は、遠くに浮かぶ一艘の舟や向こう岸まで眺められるほど天候も良く、心地よい風が吹くなかで、岳陽楼の3人は美しい眺望を堪能しながら話が弾んでいるように私は見えます。皆さんの目にはどのように映ったでしょうか。(Ｙ)

作家について

富岡鉄斎（1836〜1924）は、京都に生まれた日本画家。

「万巻の書を読み 万里の道を行く」の座右の銘を実践した鉄斎の作品は、壮大なスケールと存在感を放っている。

画は勿論、国学・儒学を修め、幕末には...

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