内藤湖南
考證文一則
Naito Konan
calligraphy
掛軸 紙本 137cm×32,5cm(総丈203cm×46cm)本田蔭軒箱書
作品の状態について
画面に少しオレがありますが、鑑賞に影響するオレではないと考えています。
表装は良い状態です。
韓非謂先王之法曰臣毋或作威毋或作利
従王之指無或作惡従王之路盖述洪範
之言而先之也
洪範威福玉食之説近於衰世名法
家言余斷以為晩固人竄入深寧先生
亦豈有見於此邪
戊午八月内藤虎
(読み)
韓非謂ふ、先王の法に曰はく、臣は威を作(な)す或(あ)る毋(な)かれ、利を作す或る毋かれ、王の指(旨、むね)に従へ、悪を作す或る無かれ、王の路(みち)に従へと。蓋(けだ)し洪範を述べ、之れ言ひて之を失ふなり。
洪範の威福と玉食の説に近し。衰世に於いて名法家曰はく、「余(われ)断じて以為(おも)へらく晩(おそ)しと。」と。因って人竄(かく)れ深寧先生に入る。亦た豈に此(ここ)に見有らんや。
戊午八月内藤虎
【深寧先生】王応麟。字は伯厚、字は深寧。南宋の儒学者・政治家。宋末の危機に際して、権臣にはばかることなく時政を批判し、宋滅亡後は故郷に隠れて教育と著述に専念した。博学で著作が多く、清代考証学に大きな影響を与えた。
戊午八月は1918年、内藤湖南53歳の揮毫作。この作は湖南が『韓非子』を揮毫し、そこに自ら識語を加えています。晋唐の書を基調とした書きぶりです。
・「先王之法曰…従王之路」は、国家の政治について法度を厳重にたてよという主旨を説いた『韓非子』有度第六に収載されています。「先王の法にこうある、臣は強い勢を持ってはならぬ、大きい利を得てはならぬ、ひたすら王の心に従え、邪(よこしま)をなしてはならず、王の定めた路を歩め、と」(新訳漢文大系 第11巻『韓非子』上より抜粋)という意味です。
・「威福玉食之説」は、『書経』洪範 第七節 三徳で説かれていることを指し、原文と通釈は次の通りです。
…惟辟作福、惟辟作威、惟辟玉食。臣無有作福作威玉食。臣之有作福作威玉食、其害而家、凶于而國、人用側頗僻、民用僭忒。
(通釈)
ただ辟(皇・王)だけが福を与え、ただ辟だけが威(刑罰)を行い、ただ辟だけが珍味を食べるのである。臣下が福を与え威を行い珍味を食べることがあってはならぬ。臣下がもしも福を与え威を行い珍味を食べることがあったなら、王家を害(そこ)い、王国に凶があり、それによって官についている者は正道を離れて不正を行い、衆民は勝手気ままに邪を行うであろう。(新釈漢文大系25『書経』上より抜粋)
揮毫された意を簡潔に言うと、決して権勢や権力、大きな利益を欲してはならず、真面目に正しい道を歩みなさいということでしょう。心に留めたい言葉です。(Y)
作家について
内藤湖南(1866~1934)は、秋田の儒者の家に生まれた。名は虎次郎、字は炳卿、湖南は号。
秋田師範学校を卒業後、小学校の訓導を務めたが、間もなく上京して操觚界(文筆に従事する人々の社会)に入った。大阪朝...
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