副島種臣
三行書
Soejima Taneomi
calligraphy
掛け軸 絖本 133cm×36cm(総丈191cm×48cm)箱入
作品の状態について
画面は良い状態です。
表装左下部分少しイタミがあります。
人登生連鬼冬変流茂
大君乃世乎安久勢受吾
者置玖扁之也モ 副島種臣
(読み)
人と生(うま)れ、鬼と変(かわ)るも、大君の世を安くせず、吾は置くべしやも。
清国漫遊から帰国後の明治10年代に揮毫されたものです。見る者を驚かせ、楽しませる面白い書が多く残されている作品群の一つだと考えています。一見すると、漢詩のように見えますが、実は和文を漢字で書き表しています。今のところ出典は分からないですが自詠歌だろうか。この作が揮毫された時期には、宮内省御用掛一等侍講兼務に任じられ、明治天皇から厚い信任をうけていました。「人と生(うま)れ鬼と変(かわ)る」や「大君の世」は特に蒼海らしさを備えたぴったりな内容です。
文字の姿は楷書に近いですが、そこには隷書や行書の筆意が加わり独創的な表現になっています。社会や漢詩、中国書道史などの規則にとらわれることなく、それらを超越した大きな世界観を持っていた蒼海だからこそ生まれた作だと思います。
「副島之印」白文印、「種臣」朱文印、「詩巻長留天地間」朱文関防印の3顆が捺され、「種臣」と「詩巻長留天地間」の印は、清国漫遊の際に親交があった陳鴻誥(曼寿)が刻したものです。(Y)
作家について
副島種臣(1828~1905)は、佐賀市鬼丸に藩校弘道館教授であった枝吉種彰の二男として生まれ、32歳で副島家の養子となった。幼名は竜種、名は種臣、通称は次郎。蒼海は号で、他に一々学人がある。
父から薫陶を...
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