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白隠慧鶴
古いけや
Hakuin Ekaku
Haiku
掛軸 紙本 89,6cm×36,9cm(総丈139cm×43cm) 箱入
作品の状態について
画面は大変良い状態です。
表装は書かれた同時に仕立てられたと考えています。
表装上部分に修復跡があります。
歌道宗匠 俳諧達人
聞蛙投井 打失心身
古るいとやかはづとびこむ
みつのおと
〈読み〉
歌道の宗匠、俳諧の達人。
蛙の井に投ずるを聞いて、心身を打失(たしつ)す。
古井戸や 蛙飛び込む 水の音
〈語釈〉
◯打失=「打」は動詞(主として一字)の接頭語として用いられる語。心も身も一切の束縛から離脱すること。
〈意味〉
【詩】
連歌の宗匠、俳諧の達人。蛙が井戸に飛び込むのを聞いて、心も身も一切の束縛から離脱して自由になった。
【芭蕉句】
静かに水を湛えた古井戸に、蛙が一匹ぴょんと飛び込んで、かすかに辺りの静寂を破った。
〈解説〉
松尾芭蕉(1644-1694)の「古池や蛙飛び込む水の音」の句を題材にした作品。この句は、芭蕉が43歳(貞享3年)の時に詠み、最も人口に膾炙した有名な句です。蕉風開眼の句とされています。
まず、四言の詩が揮毫されています。この詩は『荆叢毒蘂 拾遺』に「芭蕉翁」と題して収められていますが、異同があります(連歌→歌道)。「聞蛙投井、打失心身」は、静寂の中で蛙が井戸に飛び込む音を聞いた時の深い感動や衝撃を示しています。ぽちゃんという「水の音」が心と体の深くに響きわたり、意識が瞬間的に引き込まれることで「心身を打失す」。すなわち、自己を忘れて無心の境地に至る、いわば悟りに似た感覚を得た様子が表現されています。
続けて芭蕉の句を書していますが、白隠は「古池や」を「古井戸や」と始めています。白隠に参禅した大島蓼太(1718-1787)が、白隠に「古池や」の句の揮毫を頼むと、白隠は「古井戸や」と書き始めてしまいました。慌てて指摘すると、白隠は「古池でも古井戸でも、蛙が飛び込んだ水の音には違いはない」と答えたという逸話が残されています。(Y)
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松本松栄堂東京オフィスにおきまして10月31日(木)〜11月9日(土)「芭蕉展」を開催致します。
その際にこちらの作品も展示いたします。
お買い上げの際は展示会終了後の作品受け渡しとなります。
ご了承下さいませ。
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「古池や」の句は、生前に評判を得て、芭蕉の歿後それほど時を経ないうちに蕉門を象徴する句となったようだ。閑とする古池に蛙がぽちゃんと飛び込んだその音に、多くの人びとが寂寥感を覚え、また人生を重ね、宇宙の広大であることを知ったのである。
白隠はこの句の前に、「聞蛙投井、打失心身」と詩を添えている。
ぽちゃんという水音を聞いて、「心身の打ち失す」―身も心もふと消え去った―と。白隠はこのほかにも、西行の「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」という歌にも「打失心身」の評を加えている。
跳ねた蛙が水中に、飛び立つ鴫が夕空に消え去るさまを見聞して、白隠の身と心の境はなくなり、その心身すら虚空に消え入ったように感じたのだろう。
(大東文化大学 高橋利郎)
作家について
白隠慧鶴(1685~1768)は、日本臨済禅中興の祖と称される重要な禅僧。
駿河に生まれた。15歳で出家、臨済宗の禅僧となる。各地を巡歴して修行を積み、33歳で郷里の松陰寺に帰り、住職なる。本格的に書画を手が...
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