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富岡鉄斎
八百長寿之図
Tomioka Tessai
Flowers and Birds
掛軸 絹本 127,7cm×41,6cm(総丈190cm×58,7cm) 磯部百鱗箱書 富岡鉄斎鑑定委員会鑑定書取得保証致します
作品の状態について
画面、表装共に良い状態です。
三重県伊勢を代表する画家・磯部百鱗の為に描いた作品です。
鉄斎は身近な人の為に描く作品に優品が多く、本作品からもその事がわかります。
八百遐齢
明治柔兆涒灘九月寫以祝
百鱗翁華甲壽
鐵齋外史
〈読み〉
八百遐齢。
明治柔兆涒灘九月、写して以て百鱗翁の華甲の寿を祝す。鉄斎外史。
〈大意〉
八百歳もの長寿を祝す。
明治柔兆(じゅうちょう)涒灘(とんたん)の9月、描いて百鱗翁の還暦をお祝いする。
〈語句〉
◯ 遐齢=長生きなさま。長寿。
◯ 華甲=数え年61歳のこと。花甲。「華」の字は十の字6個と一の字からなるから「六十一」を表し、「甲」は十干の第一番目で、これで歳の意をかねたもの。
◯ 柔兆(じゅうちょう)=十干の丙の別称。
◯ 涒灘(とんたん)=十二支の申の別称。
〈解説〉
明治29年(1896)9月、三重の画家・磯部百鱗(1836-1906)の還暦を祝して描いた作品。鉄斎と百鱗は同じ天保7年(丙申、1836年)生まれで、自身の還暦も併せて祝しているのかもしれません。
栢樹の枝に五羽の叭々鳥が止まり、岩石の足元には赤い霊芝が配されています。叭々鳥(八哥鳥)はムクドリの一種で、羽を広げると吉祥数字の「八」のような模様が見えることから瑞鳥とされてきました。八百遐齢とは、叭々鳥が「八」、栢が「百」、霊芝の霊の字が「齢」に通じ、八百の長寿をあらわす吉祥画題(謎語画題)です。また、複雑に屈曲する栢樹や強固な岩石はその生命力を表現しています。(Y)
作家について
富岡鉄斎(1836〜1924)は、京都に生まれた日本画家。
「万巻の書を読み 万里の道を行く」の座右の銘を実践した鉄斎の作品は、壮大なスケールと存在感を放っている。
画は勿論、国学・儒学を修め、幕末には...
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