渡辺省亭
官女図
Watanabe Seitei
Beauty
掛軸 衛鋳生賛 絹本 105cm×38,3cm(総丈194cm×51,5cm) 箱入
作品の状態について
画面に少しオレがありますが、鑑賞に影響するオレではないと考えています。
表装は良い状態です。
雲髩新梳軃髻鴉風姿綽
約似僊家君恩浩蕩春如
海寵賜紅裠絢若霞
昔義董畫史曽寫是図
山陽外史見而題之傅為藝林
勝事今省亭臨摹畢肖
擅出藍之美余因用山陽先生
原韻系之衛鋳生并記
〈読み〉
雲鬢 新たに梳(くしけず)りて髻鴉を躱(かわ)す、風姿 綽約として僊家に似る。
君恩 浩蕩として春 海の如し、寵賜の紅裙 絢 霞の若(ごと)し。
昔、義董画史は曽(かつ)て是の図を写し、山陽外史は見て之に題し、芸林勝事と為すを伝う。今、省亭は臨摹し畢(お)え、出藍の美を擅(ほしいまま)にするを肖(かたど)る。余は因って山陽先生の原韻を用いて之を系(つな)ぎ、衛鋳生并せて記す。
〈私訳〉
豊かで美しい女の髪はくしで整えられたばかりで、長い黒髪は隠れている。その姿はしとやかで美しく、仙女にそっくりである。君主の広大な恵みは、春めいた長閑な気配が海のように広がるようである。君主から賜った赤い裳裾は霞のように色鮮やかで美しい。
昔、柴田義董が以前にこの図を描き、頼山陽が見て賛を書き付けたことで、学芸の社会における尋常でない(すばらしい)事柄として継承されてきた。そして今、渡辺省亭がそれを臨摹し終えたが、義董の画の優れた所を全て独り占めして、かえって元の画より優れたものになった。そういう訳で私(衛鋳生)は山陽先生の原韻をそのまま用いて記した。
〈語註〉
◯雲鬢(うんぴん) 豊かで美しい女子の髪。「髩」は「鬢」の異体字。 ◯軃 「躱」の異体字。くしで頭髪をととのえるの意。 ◯髻鴉(あけい) 女性の黒いまげ。女の黒髪。 ◯綽約(しゃくやく) 美女のしとやかで美しいさま。 ◯僊家 仙人。 ◯浩蕩(こうとう) 広々として大きいさま。 ◯寵賜(ちょうし) 天子の恩賜。 ◯紅裙 赤いもすそ。「裠」は「裙」の異体字。 ◯芸林勝事 学芸の社会における人の耳目を開くような尋常でない事柄。すばらしこと。 ◯臨摹 手本や原本を見ながら書いたり透き写しをしたりすること。 ◯出藍 (『荀子』勧学の「青はこれを藍 (あい) より取りて藍より青し」から)そこから生まれたものが、その元のものよりも優れていること。
〈解説〉
白の小袖に緋色(濃く明るい赤)の長袴を履いた立ち姿の官女。「癸未無射倣義董圖 省亭」の款記から、明治16年(1883)9月、省亭が33歳の時の作品と分かります。無射(ぶえき)は陰暦の9月を表します。
本図上部の賛は、清末の書家・篆刻家の衛鋳生が記したものです。衛鋳生は1878年頃に来日し、関西各地や四国の高松などを遊歴しました。この賛によれば、本図は省亭が柴田義董画・頼山陽賛の作品を臨摹したものだと分かります。また、「雲髩新梳・・・絢若霞」の部分が頼山陽の賛で、衛鋳生はそのまま用い記しています。(Y)
作家について
渡辺省亭(1851~1918)は、江戸に生まれる。菊池容斉に師事。起立工商会社で図案を制作、パリ万博で受章し、視察のため渡仏。その後も各国の万博にて受章、高い評価を得る。花鳥画を得意とし、洒脱な筆致に色彩...
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