画題の意味:菊
描かれている内容が理解できれば絵画鑑賞はより一層楽しくなります。
今回は菊について解説します。
菊について
菊は「仙境に咲く霊薬」として、邪気を払う長寿の効能があると信じられ、9月9日重陽の節句では菊の花を楽しむ行事となりました。
中国では、奇数は縁起の良い「陽の日」、奇数の重なる日は祝いの日と考えられてきました。陽の日の最大値である「9」が重なる日を「重陽」と呼び、節句の1つにしたといわれています。
「菊を東籬の下に採り、悠然として南山を見る」は、陶淵明の漢詩『飲酒』からの出典で、この詩より菊といえば陶淵明といわれる様になりました。
それ以来、菊は俗世を離れた隠者たちに愛される花となったのです。
他の草花が秋風にさらされて枯れてゆくのに、菊だけはこれに逆らい美しい花を咲かせることから、他人と同調せず、逆境にあっても節を曲げない高潔さを意味します。
参考作品:
仙厓「菊画賛」
黒川亀玉「菊に猫図」
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