奥村政信 (おくむらまさのぶ)
奥村政信(1686~1764)は、元禄末から宝暦の60年間にわたって活躍し、版元、一枚摺、肉筆画など多様な作品を発表した。菱川師宣や鳥居清信、懐月堂派に私淑し、次第に自己の表現を確立する。優美な美人画を生み出す。
版元・奥村屋を営み、版画にさまざまな新規工夫を試みた。元文から寛保頃には、西洋の透視図法を応用して奥行を強調した浮絵を創始するとともに、極端に縦長の画面をもつ柱絵という判型をも作り出した。
彩色の改良にも関与したようで、筆彩色の丹絵、紅絵、漆絵に加えて版彩色の紅摺絵も制作している。また、松月堂立羽不角に俳諧を習い、俳諧的素養を生かして、浮世絵において古典を題材を当世化、滑稽化する趣向を発展させた。