西郷南洲
三行書

Saigo Nanshu
Calligraphy

掛軸　絖本　148cm×50,7cm(総丈197cm×64cm) 箱入

作品の状態について

画面、表装共に良い状態です。
表装締め直しを致しました。

深遮塵世樹陰清幽鳥爲
誰窓外鳴最喜山中免官
賦曽無俗吏叩柴門

〈訓読〉
深く塵世を遮って樹陰清く、幽鳥 誰が為にか窓外に鳴く。
最も喜ぶ山中 官賦を免かれ、曽て俗吏の柴門を叩く無きを。

〈口語訳〉
わが家は木陰が深く俗世を遮って清らかで、窓の外では山奥の鳥が誰かのためにというのか、しきりに鳴いている。最も嬉しいのは、山の中の免税地であるため、今まで一度も役人が荒屋を叩いて税の取り立てに来なかったことである。

◯幽鳥　山林の奥深くに住む鳥。　◯官賦　租税。　◯俗吏　凡俗で無能な役人。官吏を軽蔑した言い方。　◯柴門（さいもん）　あばらや。隠者などの住む粗末な家。鹿児島市西別府町の野屋敷か。

〈解説〉
　南洲自詠の漢詩を絖本に豪快に揮毫した優品です。文字の大小の変化を激しくつけ、筆の開閉を目一杯に利用して紙面を支配するように書き進む独特の書には、激変する日本社会の中心で培われた、南洲の並外れた自我を見ることができます。また、観る者をあっと言わせるような造形や工夫があるところに魅力を感じます。(Ｙ)

作家について

西郷南洲（1827-1877）は、薩摩に生まれた幕末-明治時代の志士。
南洲は号、名は隆盛・隆永、通称は小吉・吉兵衛・吉之助。薩摩藩の下級藩士の家に生まれながら、藩主・島津斉彬に認められ側近として活躍したが...

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