卓洲胡僊
円相

Takushu Kosen
Enso

掛軸 紙本 114,5cm×28,5cm(総丈188cm×31cm) 箱入

作品の状態について

画面、表装ともに大変良い状態です。

摩尼珠人不識如来
蔵裏親収得
　　　 卓洲書
(読み)
摩尼珠 人識(し)らず、如来蔵裏に親しく収得す。　卓洲書す。

○摩尼珠　神秘的な力をもつ玉。摩尼宝珠。　○如来蔵　一切衆生に内在する仏となりうる可能性。煩悩に覆われた状態の真如。仏性と同義で、インドの中期大乗において発展した思想。

(大意)
摩尼宝珠のことを人は知らない。しかし、人は懐のうちに親しく抱えている。
→人はみな、摩尼宝珠のような仏性を心の内奥に親しく抱え持っているが、それに気付かないだけだ。

　円相は、一円相ともいい、真如・仏性・法性などの絶対の真理を表します。特に禅僧は悟りの対象として円相を画き、他者に対して禅の第一義を示す手段として用います。どこまでも途絶えることのない円によって悟りや真理を象徴し、見る人の心を映し出すものです。
　賛には、永嘉玄覚の『証道歌』の中の句が揮毫されています。これは、禅の悟りを247句の詩に託して詠じたもので、禅の修行者(特に曹洞宗)の間で重要視されています。(Ｙ)

・永嘉玄覚(665－713)　初唐の禅僧。字は明道。幼少で出家し、禅宗第六祖慧能の法を嗣ぐ。諡号は無相大師。

作家について

卓洲胡僊（1760〜1833）は、愛知県に生まれた臨済宗の僧。
15歳で名古屋総見寺の祥鳳禅瑞について出家した。
のちに峨山慈棹の下でその法をついだ。
寛政8年に総見寺住持となり、文政10年に京都妙心寺住持と...

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