日高鉄翁
水墨山水図

Hidaka Tetsuo
Landscape

掛軸 絹本 96,5cm×36cm(総丈173cm×46,5) 箱入

作品の状態について

画面、表装共に大変良い状態です。

野情便山水本志
慕道倫
　丁卯春日冩於太素軒
　　　鐵翁 時年七十有七
(読み)
野情 山水を便とすれど、本志 道倫を慕う。
　丁卯春日、太素軒に於いて写す。
　　　鉄翁、時年七十有七。

○野情　自然人のこころ。　○道倫　ともに道を修めるなかま。求道の友。

(大意)
世を捨てて住む者にとっては、このような山林の生活が都合がよいとはいうものの、私の本心は共に手を携えて道を修める友を恋うているのだ。

　喜寿77歳の時の作品です。賛には寒山の詩の第7･8句が書かれています。その全文は｢自見天台頂 孤高出衆群 風松竹韻 月現海潮頻 下望山青際 談玄有白雲 野情便山水 本志慕道倫｣(自ら見る天台の頂、孤高 衆群を出づ。風は揺るがす松竹の韻、月は現す海潮の頻(しき)りたるを。下に山青の際を望み、玄を談(かた)るに白雲あり。･･･)です。寒山(生没年未詳)は、拾得とともに天台山国清寺に住み、豊干禅師に師事したと伝わる唐代の隠者です。自由奔放な逸話で知られ、文殊菩薩の化身とみなされて、広く親しまれています。また、寒山の詩は、民衆を対象とした教訓的なものや禅の偈に似たものが多く、その詩はすべて無題です。(Ｙ)

作家について

日高鉄翁（1791〜1871）は、長崎県生まれの臨済宗の僧。鉄翁祖門の名でも知られる。石崎融思や江稼圃に師事し、画を学んだ。三浦梧門、木下逸雲と共に長崎画人の三大家と称される。弟子には、滝和亭、安田老山な...

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