釈宗演
達磨大師図

Shaku Soen
daruma

掛軸　絹本　113cm×32,5cm（総丈192cm×47,5cm）箱入

作品の状態について

画面にシミ、折れがありますが、鑑賞に影響するシミ、折れではないと考えております。

来自何来去又何去
月出麗天潮生花浦
五葉一華遍満寰宇
　遠縣入竺宗演求書
(読み)
来ること自(おのずか)ら何(いずく)より来たり、去ること又た何にか去らん。
月は麗天に出でて、潮は花浦より生ず。
五葉一華は、遍(あまね)く寰宇に満ちたり。
　遠県の竺に入る宗演書を求む。

　平成30年は釈宗演没後100年を迎える節目の年です。達磨の頭上に書かれた賛の現代語訳は、｢来るということはそもそもどこから来て、去るということもまたどこかに去るのだろうか。月は美しい天に出て、海水は花の咲く水辺から生じる。五枚の花弁によってできる1つの花は、あまねく天下に満ちている。｣となります。
　ここでの｢一華｣は、一人が悟りの花を咲かせれば、全世界のすべてが花開くという悟りの境涯を意味し、禅宗の開祖菩提達磨の伝法偈の｢一華開五葉、結果自然成｣(一輪の花が五枚の葉を茂らせ、放っておいてもその実は自然に実る)を背景にしているとみられます。
　多くの政治家や文化人、著名人たちは釈宗演の持つ強烈な何かに惹き付けられました。本作｢達磨大師図｣に込められた意味を考えていると、その｢何か｣に迫ることができそうです。(Ｙ)

作家について

釈宗演（1860〜1919）は、福井県に生まれた臨済宗の僧。
京都妙心寺の越渓守謙のもとで得度し、曹源寺の儀山善来や、建仁寺の千葉俊涯のもとで修行した。
鎌倉円覚寺において今北洪川の法をついだ。
慶應義塾...

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