橋本関雪
巫峡奇忛図

Hashimoto Kansetsu
Landscape

掛軸　絹本　138,5cm×42,2cm(総丈218cm×56,5cm) 共箱　二重箱入

作品の状態について

画面、表装ともに良い状態です。

(本文)
眼底江山画
得成一峰
怱起一
峰生
黄
牛
西
去
瞿唐
崎落
筆
猶
聞波
浪声
関雪並題

箱書：巫峡奇帆図
箱書裏：関雪散人自題簽

〈読み〉
眼底の江山画き得るを成す,一峰怱ち起き一峰生ず。
黄牛は西へ去り瞿唐の崎,落筆すれば猶波浪の声を聞くごとし。

〈語注〉
眼底→目の前、現在。
江山→河川や山岳。国家や政権を指すこともある。
怱→突然、急速に。
黄牛→牛の一種、角は短く耕地や車を引くのに使う。或いは長江の峡名。
瞿唐→瞿塘峡、峡名。長江三峡の一。
落筆→筆を用いて詩や文章、或いは書画を書くこと。
猶→～のようだ。

〈大意〉
目の前に広がる大自然を描き一幅と為す。
山々がたちまち隆起し、長江の険しい渓谷を絶えることなく水が流れる。
筆を執れば波の音を聞くようである。

〈解説〉
屹立した厳しい峰が画面を覆いつくす大胆な構図によって、長江の雄大さを見事に描いています。
画賛に添えた自詠の詩も爽快で、書品も上々です。
詩書画一体の本作品には関雪の文人趣味、中国趣味が存分に発揮されていて見るものを楽しませてくれます。（G）

作家について

橋本関雪（1883〜1945）は、兵庫県に生まれた日本画家。
父である明石藩儒・橋本海関に漢詩を学び、はじめ南画を描いた。
早くから中国文物に親しみ、中国文化への傾倒を見せる。
次に竹内栖鳳に師事し、四条...

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