増山雪斎
東方朔

Masuyama Sessai
Sennin

掛軸　絹本　116cm×41,5cm(総丈195cm×53cm) 箱入

作品の状態について

画面に少し折れがありますが、鑑賞に影響する折れではいと考えています。
表装は良い状態です。
賛者が調べられ次第アップ致します。

奥やまの
　よもきかもとの
　　　すみかのみ

　　　世をのかるへき
　　　　かたとさた
　　　　　　めし

　　　参議左大辯藤原（花押）

〈読み〉
奥やまの よもぎがもとの すみかのみ
世をのがるべき かたとさだめし
　参議左大弁藤原（花押）

〈解説〉
　大きな桃を盗んで今まさに立ち去ろうと、周りの様子をうかがう一人の男。この男は、西王母の不老不死の仙桃を盗んで食べ、八百歳もの長寿を得たという東方朔で、不老長寿のおめでたい画題としてしばしば描かれます。款記に「丙辰冬月 雪齋曾君選寫」とあることから、寛政8年（1796）冬、雪斎43歳の時に描かれた作品だと分かります。
　画面上部に記された和歌の大意は、「奥深い山の、よもぎが生い茂るあたりにこそ、俗世間を逃れて住むべき場所だと心に決めたのです」。この和歌は、静かで隠遁的な生活への憧れを感じさせます。「奥やま」や「よもぎがもと」といった自然の描写を通して、心の安らぎを自然の中に見出している心情が伝わります。(Ｙ)

作家について

増山雪斎（1754〜1819）は、伊勢長島藩主で精緻な花鳥画を描き、詩文もよくした。藩に文礼館という講堂を創建し、十時梅厓を学長に招いた。

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