掛軸の表装修復:事例紹介①
今回、本紙の修復はしていません。
以前に修復歴があり、これ以上手を加えても現状よりも良くなる事はないと判断しました。
元に使われていた表装裂の質は悪く、軸先にはプラスチックが使われていました。そのプラスチックの軸を付ける為に、軸芯に釘が打たれていた事がわかりました。
一見すると同じ掛軸ですが、中身はまるで違う物で、とても掛軸と呼べる物ではありませんでした。
今回は作品の格に合った表装裂を使う事で、掛軸としての品格を取り戻します。
上下には鼠地揉紙、中廻しは緑地糸圭、一文字は紺地竹屋町を使いました。
軸先は塗り撥軸を付けました。
禅僧の風格を保ちつつ、表装の柱(両端)を輪補(細く)にする事で威圧感を和らげる事を心がけました。
ご依頼主様から、書かれている「松」に合った掛軸をというご依頼でしたので、ピッタリと合った作品に仕上がったと思います。
修復前の画像↓
修復後の画像↓
作品詳細
一文字:紺地竹屋町
中廻し:緑地糸圭
上下 :鼠地揉紙
軸先 :塗撥軸
鉄眼道光
松 置字
紙本 江戸時代 17世紀
Tetsugan Doko
Calligraphy
Ink on paper, 17th century
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