久隅守景 (くすみもりかげ)
久隅守景(生没年不詳)は、その生涯の伝記について確実に知り得るところの少ない、いわゆる「謎の画家」の一人である。家系や出自はおろか生没年など、肝心なところがいっさい分かっていない。その画名の高さからいって不思議なほどだが、それもみな後半生の守景の孤独な立場が結果したためであろう。狩野探幽の弟子で探幽の姪と結婚を許されている。娘に画家清原雪信がいる。寛永18、19年、守景は数いる門弟のうちから抜擢されて、狩野家の公用たる有力寺院の障壁画制作に参加する機会を得た。古くから諸書は、守景が狩野探幽から破門されたと伝える。