徳川慶喜
二行書

Tokugawa Yoshinobu
calligraphy

掛軸　紙本　102cm×30cm（総丈195cm×42,5cm）箱入

作品の状態について

画面に少しシミが出ていますが、鑑賞に影響するシミではないと考えています。

君以明為聖臣以直為
忠　　　　慶喜
(読み)
君は明を以て聖と為し、臣は直を以て忠と為す。
(意味)
君主は聡明なので聖人といわれ、臣下は正直なのが忠臣といわれる。

　唐の憲宗の元和4年(809)閏3月に長い日照りのあと雨が降ったことを賀した、白居易｢賀雨詩｣の一節が揮毫されています。
　｢特別展 徳川慶喜｣(茨城県立歴史館 平成27年)に収載されるNo.137 書｢忠誠貫於金石 孝悌通於神明｣は明治30年以降の晩年の作と推定され、本作はそれと同じ印を用い、書風も類似しています。よって本作も同様に明治30年以降の晩年の作と考えて良いでしょう。慶喜らしい詩の一節が書かれ、温潤の中に剛健を含み、気力に満ち堂々としているところは正に晩年の書きぶりです。(Ｙ)

作家について

徳川慶喜(1837〜1913)は江戸幕府第15代将軍。
水戸藩主・徳川斉昭の七男として生まれる。
字は子邦、号は興山。
将軍の継嗣問題で家茂に敗れ、安政の大獄では隠居謹慎を命じられた。
家茂の死後、最後の将軍...

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