From the Heian period to the present day
平安時代から現代まで 展
2018.04.14-2018.04.28
松本松栄堂 東京オフィスにて 「平安時代から現代まで 」展を開催させて頂きます。
今回は平安時代から現代までの作品を展示致します。
点数は少ないですが、各時代の優品を揃えました。
日本美術の歴史を少しでも感じて頂ければ幸いです。
4/14(土曜日)午前中のみ開廊 〜 4/28(土曜日) 会期中無休
会場:松本松栄堂東京オフィス
(東京都中央区日本橋3丁目8-7坂本ビル3階)
時代を超える「書画」の妙味—平安から現代まで
古美術の世界では今日でも「書画」という概念が生きている。古美術商で書だけ、あるいは絵画だけを扱うお店というのは特殊だろう。展覧会においても、明治を迎えてもしばらくは書や絵画という区分が設けられることはなく、「書画」と一括りにすることが一般的だった。国内外で博覧会が一般化するにしたがって「分類」が意識され、書は書になり画は絵画になったのである。
今日ではさらに分類が細分化して、作家はそれぞれの分類にしたがって作品を制作する。審査や展示の便宜があるとしても、分類に支配されまいという自覚を持つべきだし、そうでなくても分類を超えることに臆病になる必要はない。
東アジア漢字文化圏では、毛筆に墨を含ませて紙あるいは絹に書も絵も書きつけてきた。湿潤な気候にふさわしい用具用材なのだろう。書画が同じ地平で語られ、区別されてこなかったことの淵源は、このあたりに求められるのではないだろうか。
「平安時代から現代まで」は、伝小大君筆「香紙切」、鎌倉時代の「春日曼荼羅」、雪村筆「水墨山水図」、長谷川等伯筆「渡唐天神図」、浦上玉堂筆「山水図」、安田靫彦筆「良寛和尚」、宇高健太郎筆「椿」という7点で構成される小さな展覧会である。どの作もガラスケースなしで、直に見ることができる。
ほのかな丁子色の料紙が特徴の「香紙切」は、華奢で糸のような丸みを持つ線が縦横に絡み合う。墨量の変化や穂先の働きは、本来、手にとって観る者にしか伝わらない繊細な世界のいとなみである。それは、雪村のいまでもしっとりとしたみずみずしさを湛える水墨にも、松煙墨特有の幽かに青い光を吸い込む玉堂の文人画にも共通する。靫彦は墨の特質に強い関心を抱いていた。良寛に心寄せた靫彦の書と絵画の線は紛れもなく同源である。一九八一年生まれの宇高は、膠を自ら作り、紙や絵絹の素材にも科学的な視点から迫る。いかに描くかという命題を掘り下げて至りついたのは、東アジア美術が育んできた用具用材と技法への敬意だったのである。
武者小路実篤は水墨画と書の関係について次のように語っている。
墨絵は心の調子を一番すなおに全心的に出すのに適している。他の感じを入れる必要がないのだ。その点書に似ていると思う。だからいい書がかける人でないと、本当の意味の墨絵はかけないのではないかと思う。いい字のかける人ならいい墨絵はかけるわけと思う。(『墨絵其他に就て』)
元来、人と作品は一対一の関係であるべきだろう。こうした少数の名品をじっくりと時間をかけて鑑賞することで、時代を超えて変わらない筆墨の世界の妙味を堪能することができるのではないだろうか。
(大東文化大学 高橋利郎)
展示作品一覧
平安時代 香紙切 伝小大君
鎌倉時代 春日社寺曼荼羅
室町時代 雪村 山水図 双幅
桃山時代 長谷川等伯 天神像
江戸時代 浦上玉堂 山水図
昭和時代 安田靫彦 良寛和尚像
現代 宇髙健太郎 椿
会場
松本松栄堂 東京オフィス
〒103-0027
東京都中央区日本橋3丁目8-7坂本ビル3F
担当者電話番号:080-9608-7598
Mail:info@matsumoto-shoeido.jp
営業時間:10:00 - 18:00